Notionに営業リストを作ったものの、同じ会社の話が何度も行に増えて、どれが今どうなっているのか分からなくなる。よくある詰まり方で、原因はたいてい「会社」と「商談」を1つのデータベースに入れていることです。

商談のパイプラインとは、進行中の商談をステージごとに並べて、どの案件に次の一手が必要かが見える状態にしたものです。結論を先に書きます。Notionで作るなら、会社データベースと商談データベースを分けて、リレーションでつないでください。 1社に複数の商談がぶら下がる形にしておけば、リピートの相談が来ても行が散らばりません。

この記事では、2つのデータベースのプロパティ設計、ステージと確度の決め方、加重見込み金額の数式、再連絡アラートの作り方までを、そのまま設定できる形で書きます。Notionのフリープランは、個人の利用ならページとブロックが無制限です(出典:Notion「料金プラン」、2026年10月1日確認)。

この記事の要点

  • データベースは「会社」と「商談」の2つ。1つにまとめると同じ会社の行が散らばる
  • ステージは6つまで。確度はステージに紐づけて、案件ごとに考えない
  • 加重見込み金額と再連絡アラートは、数式プロパティ2つで足りる
Notionで営業管理を作る構成を示した図。会社データベースと商談データベースをリレーションでつなぎ、商談側からボードビュー・加重見込み金額・再連絡アラートの3つが導かれることが確認できる

1つのデータベースにまとめてはいけない理由

最初は「見込み客リスト」1つで足ります。行に会社名と連絡先、ステータスを入れておけば回ります。崩れるのは、同じ会社から2件目の相談が来たときです。

行を増やせば会社の情報が重複し、住所や担当者を直すときに両方直す必要が出ます。行を増やさずステータスだけ上書きすると、前回の商談の記録が消えます。どちらを選んでも後で困るので、会社は1行、商談は何行でもという形にしておきます。これは受託で何年も取引が続く相手ほど効いてきます。既存客からの追加相談を取りこぼさない考え方はリピート受注を増やす方法にまとめています。

会社データベースのプロパティ

名前を「会社」にして、次のプロパティを作ります。

プロパティ種類入力例
会社名タイトル○○株式会社
区分セレクト見込み/既存/休眠
業種セレクト製造/小売/士業
担当者テキスト山田さん(Web担当)
連絡先メール/電話—
流入経路セレクト紹介/問い合わせ/フォーム営業
商談リレーション商談データベースへ
商談金額の合計ロールアップ商談→金額のSum
メモテキスト初回接触時の状況

流入経路を必ず入れてください。どのチャネルから来た会社が受注まで進んでいるかが、あとで分かります。営業リストに最初に集める項目は営業リストの作り方に整理しています。

商談データベースのプロパティとステージ

名前を「商談」にします。1件の相談=1行です。

プロパティ種類入力例
商談名タイトルコーポサイト リニューアル
会社リレーション会社データベースへ
ステージセレクト提案・見積
金額数値1,200,000
確度(%)数値50
加重見込み数式600,000
提出日日付2026-09-18
受注予定月日付2026-10
最終接触日日付2026-09-22
次の一手テキスト修正版の見積を送る
要再連絡数式要再連絡

ステージは6つに固定します。増やすほど、どこに入れるか迷う時間が増えます。

ステージ状態確度の目安
初回接触話を聞いた段階10%
ヒアリング要件を聞いている30%
提案・見積見積もりを出した50%
検討中先方の社内判断待ち70%
受注発注が確定100%
失注見送り・他社決定0%

確度は案件ごとに感覚で決めず、ステージに紐づけます。個別に「この案件は65%くらい」と考え始めると、翌月には基準が変わって比較できなくなります。カンバンでの運用の考え方は商談管理はエクセルで限界?に書いています。

ボードビューをパイプラインにする

商談データベースのビューを「ボード」にして、グループ化のプロパティに「ステージ」を指定します。これだけでカンバンになります。設定のポイントは3つです。

  1. カードに表示するプロパティを、金額・最終接触日・次の一手の3つに絞る。カードの情報が多いと一覧性が落ちます
  2. フィルタで「受注」「失注」を除外したビューを別に作る。進行中だけを見る画面が主戦場になります
  3. 並び替えを金額の降順にする。同じステージなら大きい案件から目に入ります

受注・失注を含むビューは月次の振り返り用に残しておきます。負けた理由を記録して次に使う手順は失注分析のやり方にまとめています。

加重見込み金額を数式で出す

「加重見込み」プロパティを数式にして、次を入れます。

prop("金額") * prop("確度(%)") / 100

これで、1,200,000円 × 50% = 600,000円が自動で出ます。ボードビューの下部に表示される集計(Sum)を「加重見込み」にしておくと、ステージごとの合計がそのまま見えます。

受注予定月でグループ化したテーブルビューを別に作り、加重見込みの合計を月ごとに出せば、それが翌月以降の見込みになります。商談の確度から月別の見込みを立てる考え方は受託の売上予測のやり方を参照してください。

再連絡アラートを作る

受託の商談が消える原因のほとんどは、断られたからではなく、こちらが忘れるからです。「要再連絡」プロパティを数式にして、次を入れます。

if(
  and(prop("ステージ") != "受注", prop("ステージ") != "失注"),
  if(dateBetween(now(), prop("最終接触日"), "days") > 14, "要再連絡", ""),
  ""
)

最終接触から14日以上たった進行中の商談に「要再連絡」が立ちます。この数式でフィルタしたビューを1つ作っておけば、週の初めに開く画面がそれになります。日数は業種によって変えてください。フォーム営業やメールからの反応を追う場合は7日、長期の検討案件は30日が目安です。追客の型は見込み客の追客のやり方にまとめています。

週1回の見直し手順

作ったあとに回すのは、週1回・15分の次の3ステップです。

  1. 要再連絡のビューを開く。上から順に、次の一手を決めて実行する
  2. 提案・見積のカードを見る。提出日から2週間たっているものは、こちらから確認の連絡を入れる
  3. 動かないカードを失注に落とす。判断を先送りしたカードが溜まると、パイプラインの数字が実態から離れます

3つ目を機械的にやるのがコツです。失注に落としても会社データベースには残るので、半年後に休眠として掘り起こせます。案件管理まで含めてNotionで作る場合はNotionで受託の案件管理を作ると、受注後のデータベースをつなぐ形になります。

この構成で足りなくなるタイミング

1人〜数名で、進行中の商談が20〜30件までなら、この構成で十分回ります。うまく回っているなら乗り換える必要はありません。

別の仕組みが必要になるのは、商談の先にある案件・発注・請求までNotionで作り込み始めて、数式とリレーションの保守そのものに時間を取られ始めたときです。ここからは自社製品の紹介です。私たちが作っている Pipelia は、営業リストから商談・受注・案件・外注・粗利までが最初からつながっている受託事業者向けのSFA/CRMで、再連絡アラートや優先スコアも標準で付いています。

Pipeliaの営業リスト画面。優先スコアと再連絡アラート、架電・メール・フォーム営業の履歴が一覧で確認できる

よくある質問

Notionの無料プランでも作れますか?

Notionの料金ページでは、フリープランは個人の利用であればページとブロックが無制限とされているので、1人で使う分には量を気にせず作り始められます。メンバーが2名以上になるとページとブロックに制限がかかり、外部ゲストは10人までです(出典:Notion「料金プラン」、2026年10月1日確認)。人数が増えてチームで共有する段階になったら、有料プランを検討してください。

確度は案件ごとに調整してもいいですか?

調整したくなりますが、最初はステージに紐づけた固定値で運用することをおすすめします。案件ごとに感覚で決めると、翌月には基準がずれて、月別の見込み金額を比べられなくなります。運用が安定してから、自社の実際の受注率を使ってステージごとの確度を見直すほうが精度は上がります。

スプレッドシートとNotionはどちらがいいですか?

1社に複数の商談がぶら下がる形を扱うならNotionが向いています。リレーションで会社と商談を分けられるためです。逆に、集計や数式を細かく組みたい場合や、他の表と数式でつなぎたい場合はスプレッドシートのほうが速く作れます。列設計は営業リストのスプレッドシートテンプレートを参考にしてください。